テニスラケットの科学(232)
:スピンとストリング(30)
:プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション
:講演論文(1999年)紹介 :テニスラケットのフレーム振動におよばすストリングスの張り方・張力分布の影響(1本張りと2本張りの張力分布の違いの影響)―その7(ボールがストリング面の中心に衝突したときのグリップ部に伝わる衝撃・振動と成分分析)

 図は、宙づリラケッ トに ボールが30m/秒でストリング面中心に衝突したときにラケット・グリップ部 (グリップ端から70 mm)に伝わる衝撃・振動の予測波形です。
 ボールの衝突位置はストリング面中心です。
 図の上から4つの振動成分と衝撃成分,さらにそれらの合成波形を示しています。 
 2本張リラケットの場合,振動数の高い 3次の 3節曲げ振動が目立ちます。
(まとめ)
・ 衝突速度 30m/秒におけるフレーム振動によるエネルギ損失の予測値は 2本張りの方がラケッ ト面のどの打点でも小さく (先端側ほど差が大きい),反発係数 は 2本張りの場合の方がやや高いことが予想されるが,わ ずかな差である。
・ ラケットの反発性,ボールの跳ね返りの良さ,あるいはボールの飛び (打球の速さ)にはほとんど影響しないこ とが推測される。
・1本張りの場合と2本張りの場合の両者の張力(テンション)分布には顕著な違いが見られ,ラケットの振動にも両者の特徴が現れたが,フ レーム振動の大小にはさほど大きな違いはなかつた