テニスラケットの科学(518)
(備忘録)2020年12月17日投稿
テンションとプレイのマッチング 1995年版(9): Part5  テンションの秘密を科学で探る
実験結果と実際のスウィングの印象の間で、 ギャップはなぜ 起こるのか ⑥
(5) 実際のスイングの印象は、どのようなものか

“ それでは、実際のスウィングでのプレイヤーの印象はどうであろうか。
 前述のテニス雑誌の記事には、1人のコーチの感覚的なコメントも載っており、それまで60ポンドのときもっともスピードが出ると思っていたとのことである。
 しかし、プレイにおける一般的な印象としては、ストリングを緩く張るほどスピードが出る、あるいは最近ではストリングを緩く張ると飛びすぎるという認識が定着しているようである。
 ボールの飛びを良くしたければ、ストリングを緩く張ればいいというのが常識になっている感がある。
 ストリングを緩く張るほど、反発が良いという一般的な印象があるにもかかわらず、これまで見てきた実験結果によると、低いテンションのほうが反発は良い傾向にあるとは言え、かならずしもテンションが低いほど反発は良いとは言えない。
 また、少ない実験データではあるが、上級者のストロークでは、かなり高いテンションで打球が速いという実験結果も紹介した。
 このように実験結果と印象に違いが出るのはなぜだろうか。
 飛び過ぎると感じるときに、本当に印象ほど打球は速いのであろうか。
 以下では、反発が良くなる条件と関連づけながらテンションと反発の関係を考えてみよう。

(続く)
(参考資料)
テンションとプレイのマッチング:Part5
テンションの秘密を科学で探る
実験結果と実際のスウィングの印象の間で,ギャップはなぜ 起こるのか
川副嘉彦,月刊テニスジャーナル 1995年10月号,pp.55-60.