テニスラケットの科学(522)
(備忘録)2020年12月17日投稿
テンションとプレイのマッチング 1995年版(13): Part5 テンションの秘密を科学で探る
実験結果と実際のスウィングの印象の間で、 ギャップはなぜ 起こるのか ⑨
(8)テンションが違っても、センター打撃ではボールの変形やフレーム振動が変わらないので、反発も変わらない
(備忘録)
“ このようなストリングスの特性に基づいて、グリップ端から70 mm の位置を支えたラケットのストリング面中心にボールが衝突すると仮定してインパクトを計算した結果を以下に示す。
図7は、テンションが異なる場合のインパクト・タイム(ボールとラケットの接触時間)である。
ラケットは、全長680ミリ、打球面積606平方センチ、質量360グラム(ストリングス含む)、重心位置はグリップ端から308ミリである。
衝突速度が15m/s(時速54キロ)以下では、ストリング張力(テンション)が小さいほど接触時間は長いが、それ以上の速度ではテンションは接触時間にあまり影響しない。
詳細にみると、衝突速度が15m/sから30m/sの間では、わずかではあるが、テンションが低い方が逆にインパクト・タイムが短なっている。
図8と図9は、インパクトにおけるストリングスとボールの変形量を示している。
変形量はインパクトの速度で大きく変わる。
図8のストリングスの変形をみると、平均的なインパクト速度においてテンションの影響はかなり大きい。
一方、図9のボールの変形量には、テンションはあまり影響していない。
ボールがストリング面の中心に衝突した場合はラケット・フレームの振動は小さいので、一般にはテンションのフレーム振動に及ぼす影響は大きくない。
つまり、テンションが違っても、ボールの変形量もフレームの振動もあまり変わらないことになる。
したがって、センターでの反発もあまり変わらないことになる。
”
(続く)
(参考資料)
テンションとプレイのマッチング:Part5
テンションの秘密を科学で探る
実験結果と実際のスウィングの印象の間で,ギャップはなぜ 起こるのか
川副嘉彦,月刊テニスジャーナル 1995年10月号,pp.55-60.