テニスラケットの科学(574)
:スピン量と打球速度はインパクト(1000分の3~5秒)で決まる①
:打球速度とスピンを生むインパクトの構成要素
図1:打球速度とスピンが生まれる原理(概略図)
図2:打球速度とスピンが生まれる原理(概略説明)
図は、実際にボールを打ったときの高速度カメラで撮影した映像の連続写真をイラスト化したものです。
ボールはA➡B➡Cと飛んできて、Eでラケットにぶつかり、ラケットもA➡B➡Cとスイングされて、Eでボールにぶつかっています。
ただし、緑の➡(スイングによるラケット・ヘッド速度)はD-E間を動く速さ、インパクトの瞬間の方向です。
Eがインパクト・ポイントで、この場合は、ラケット面はほぼ垂直になっています。
「インパクト後のボールの速度と方向と回転量(トップスピン、アンダースピン)」は、力学的には、
「飛来するインパクト直前のボールの速度と方向と回転量(回転角速度)」に対して、
「インパクトにおける
①スイングの速度
②スイングの方向
③ ラケット面の傾き」
という三つの要素によって決まります。
弾んだボールをライジングで(上がりっぱなを)打つのか、頂上で打つのか、下がってボールが落ちてくるところを打つのかによっても異なります。
図3:打球速度の算出公式
・インパクト(打球速度とスピン)に関与するテニスラケットの特性は、反発力係数 e の中にすべて含まれています。
(具体的には改めて後ほど紹介させていただきます。)
図4:ラケットの反発力係数e(ラケットに相対的な跳ね返り速度係数)とラケット面の打点に換算したラケット質量
・
図5:インパクトは一瞬(ボールとラケットの接触時間は1000分の3~5秒
:プレーヤーは感知できない*
(*人の1回のまばたきの時間は1000分の100~150秒)
図6:インパクトにおけるボールとラケットの接触状況
(参考文献)