テニスラケットの科学(597)
:(2020年9月29日初投稿)
:ヨネックスのラケット:研究の思い出(2)
● V-CON17と国際テニス連盟・性能試験用の標準ラケットITFとの比較(ボールの飛びに関連する性能予測と評価を行いました.)
“最近のテニスラケットの試合への影響力を抑える対策をマッケンローら元トッププレイヤー数人が 国際テニス連盟(ITF)に対して要求したということもあり,ITFは新開発の性能測定装置を用いてラケットやシューズ,ボール,コートなどの性能測定実験を精力的に進めている.(図1)
図2 は,ラケットのパワー測定装置であり,上から落ちてきたボールをマシーンに取り付けたラケットで打撃して打球速度を測定できる.
性能測定実験の目的は,主要メーカーのラケット性能をベンチマークすることによりパワー値に関するデータベースを作成することである.”
(追記)動画:ラケットのパワー測定
● (追記)
論文(参考文献)の結論を要約すると、以下のようになります。
・従来型バランスの重めの性能試験用ラケットITFのボールの飛び(パワー)の予測値は,最近の代表的な軽量ラケットV-CON17の場合と比べて,ほとんど差がありません。
・ラケット ITF のラケット・ヘッド速度は遅いが,ラケットとボールの反発係数はやや高く,反発力係数はかなり高いからです。
・面安定性についても大きな違いはありません。
・テニスのパフォーマンスの向上は,ラケットそのものの性能向上によるというより、ラケットの微妙な変化がプレーヤのパフォーマンス向上のトリガーになっているとみなすべきでしょう。
(参考文献)
・国際テニス連盟性能試験用ラケットITFのボールの飛びに関連する性能予測と評価
川副 嘉彦,武田 幸宏,中川 慎理,
ジョイント・シンポジウム : スポーツ工学シンポジウム・シンポジウム:ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2009 2009-12 p.124~129