テニスラケットの科学(602)
:(2020年10月1日初投稿)
:ヨネックスのラケット:研究の思い出(7)

● (研究の背景)
・ 最近のラケットの特長は軽量化です.
・ 軽量化によりテニスラケットはパワーに関する性能を向上させてきましたが,反発係数,反発(力)特性,およびオフセンター・インパクトにおける手首関節の衝撃振動に関する軽量化の限界が明らかになってきました.
 ・ 一方,打球感の改善をめざした新しい発想・試みのラケットが次々と市販されるようになってきました.文献(1)-(7)
・ グロメット部でストリングスを動きにくくしたというフレーム・ストリング・一体化構造ラケット(ヨネックス製 V-CON20)とストリングスを動きやすくしたというローラー(滑車)付ラケット(Wilson製 ROLLERS 3.1)は真逆の発想です.
・ この研究では,ラケットの衝撃振動伝達特性を予測し,両ラケットの打球感に関連した性能評価を試みました.

(追記)
 論文(参考文献)の結論を要約すると、以下のようになります。
・ ラケット・ヘッドの横のグロメット部でストリングスを動きにくく(滑りにくく)したフレーム・ストリング・一体化構造ラケットは,
 動きやすくしたローラー(滑車)付ラケットに比べて,
 反発係数は面中心付近でやや高く,打球速度も面中心付近ではやや速いが,先端側ではやや遅かった.
・ ボールとの衝突あるいはボールを打撃したときのハンドルおよび手首関節の衝撃振動に関しては,
 ストリングスを動きにくく(滑りにくく)したフレーム・ストリング・一体化構造ラケットは,
 ローラー(滑車)付ラケットに比べて,
 ストリング面全体でやや大きく,特に先端側での打撃において違いが大きい.
・ なお,本研究の一部は平成13,14,15年度科学研究費基盤研究(B),平成15,16年度科学研究費基盤研究(C)および埼玉工業大学ハイテクリサーチセンターの援助によって行われたことを付記する.

(参考文献)
フレーム・ストリング・一体化構造テニスラケットの手に伝わる衝撃振動特性の予測と評価
川副 嘉彦, 友末 亮三, 吉成 啓子,ジョイント・シンポジウム : スポーツ工学シンポジウム・シンポジウム:ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2004 2004-11-10 p.72-77

フレーム・ストリング・一体化構造テニスラケットの手に伝わる衝撃振動特性の予測と評価