テニスラケットの科学(7)  
ストリング・テンションと反発力係数

ラケットのグリップ端から75mmを固定してボールを衝突させたときのボール・ラケットの反発力係数e = Vout / Vin(=ボールの跳ね返り速度/入射速度)とストリング・テンションの関係を調べた実験結果(外山・桜井2004)を川副がグラフ化したものです。

グリップを固定した場合は、テニスにおける実際のインパクトと振動モード(変形の形)が異なりますが、衝突による伝播波がグリップ端で反射して、ストリング面上の打点まで戻ってくる前にボールが飛び出してしまうので(神田・川副1995)、手持ちや自由のラケットの場合と反発力係数の値に大きな違いはありません。

反発力係数におよぼすテンションの影響は、ほとんどありません。ばらつきの範囲に収まっています。

グリップ手持ちの場合、グリップ自由(ラケット宙づり)の場合、およびシミュレーション結果につては、改めて、後で紹介させていただきます。
また、反発力係数 e は、ストリング面上の打点に換算したラケット換算質量と反発係数 e BG で決まります(川副1995)。
打点に換算したラケット換算質量と反発係数 e BG についても、改めて、後で説明します。

**反発力係数は、それまで仮想反発係数と呼ばれ、反発係数と紛らわしかったので、日本語論文では1998年に、国際会議では2002年に川副が定義したものですが、その後、米国プロ・ストリンガー協会の機関誌論文でも Rod Cross らにより提案されました。

1-画像:ストリング・テンションvs. ボール・ラケットの反発力係数
:Vout / Vin(=ボールの跳ね返り速度/入射速度)
(グリップ端から75mm固定)外山・桜井の実験結果(2004)
をグラフ化。(2018-02-04川副研)

2-画像:グリップ万力固定での反発力係数の測定法概略図(川副研)

テニスラケットの科学(7)の補足