テニスラケットの科学(790)
:テニスラケットの科学(111)の補足5
:研究の思い出
:テニスラケットの性能予測(その1) since 1987年?
:学生諸君の協力を得て「テニスラケットの動特性同定に適用するための実験モード解析システム」の開発にチャレンジ
(1987年度・卒業研究論文3編)
テニスラケットは1960年代前半までは木製で68 in 2(平方インチ)のレギュラーサイズと(規則ではなく経験的に)決まっていたので,自分に合ったラケットも経験的に自然と決まってくるものでした.
しかし,1967年にスチール製,1968年にアルミ製の金属ラケットが現れ,1974年には複合材のラケットが登場しました.
1976年に110 in 2 の「デカラケ」,1987年に従来の4倍近くまでフレーム剛性を高めた「厚ラケ」などの革新的なラケットが現れました.
木製と違って複合材製ラケットの選択は難しく,自分で調べてみようと思い立ったのがラケット性能研究のスタートでした.
テニスにおける衝突(インパクト)の理論とハンマリング法によるボール・ラケット系の実験モード解析により剛体運動と振動特性を調べ,「動力学・設計のための高度コンピュータ利用に関する国際シンポジウム1989」で動的設計指針を発表しました.
さらに,1989年に友末亮三先生(現,安田女子大学)が中心になって立ち上げた第1回日本テニス研究会に参加する機会があり,テニスラケットの共同実験,さらにプレーヤー上肢系に伝わる衝撃振動の研究に進展しました.
テニス研究会は1994年にテニス学会へと発展しました.
試行錯誤でラケット研究にのめり込み始めた頃,当時,ヤマハ(株)スポーツ事業部研究室長だったT博士と出会うことになったのです.
これまでの研究を振り返ってみるとき,これが決定的に好運だったことに気づかされます.
貴重な情報や用具類の提供,奨学金の形での援助をいただいたうえ,極めて貴重な研究課題やアドバイスをいただきました.
結局,私は,アドバイス通りにやったに過ぎないことが最近になってよくわかりました.
画像1:自動車用エンジンの振動・騒音制御の研究からテニスラケットの研究へ

画像ー1
画像2:ヤマハのラケット・カタログ1991年(1)

画像ー2
画像3:ヤマハのラケット・カタログ1991年(2)

画像ー3
画像4:ヤマハのラケット・カタログ1991年(3)

画像ー4
(参考記事)
・川副嘉彦、
私のテニス研究遍歴5話 (知は現場にあり)
JSEA機関誌「スポーツ工学」,第6号(特集「新分野創設者によるスポーツ工学研究レビュー」),pp. 21-31 (2011)
https://kawazoe-lab.com/research/tennis_kennkyuu/
・テニスラケットの科学(111)
:研究の思い出
:ヤマハにおけるインパクト実験映像(1)
ノーマルラケットのストリング面先端での衝突挙動 1990年
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-111/