テニスラケットの科学(808)
:ストリング・ゲージの太さが打球速度とスピン量に与える影響
:テニス書・テニス雑誌の解説に「異見あり!」
:30代男性(テニス歴15年)の質問へのプロストリンガーの回答 「ポリの125ゲージから130に変える場合は、テンションを2~3ポンド下げて張るとボールが飛びやすくなる」* に「異見あり!」
:トラックマンによる測定によると、フォアハンド、バックハンド、フラットサーブ、スライス・サーブ、スピンサーブにおける1.1 mm、1.2 mm、1.3 mmの実験データが示すように、ストリング素線の太さ(ゲージ)を110、120、130(単位0.1 mm)に変えても、打感は異なっても、「打球速度」と「スピン量」への影響はありません.
*スマッシュ誌2025年9月号 p. 57.、「ストリングの基礎知識」 Vol. 99
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テニス雑誌の最近号*「ストリングの基礎知識」の欄の30代男性(テニス歴15年)の
質問 「 ポリの125ゲージを使用しています.しっかりした食いつきが欲しいので130ゲージにしようと思います.ただし、ボールが飛ばなくなりそうです.現状よりテンションを低くすればいいのでしょうか」
への回答
「一般的にポリの125ゲージから130に変える場合には、テンションを2~3ポンド下げて張ると、ボールが飛びやすくなります.」 に「異見あり!」 です.
フォアハンド、バックハンド、フラットサーブ、スライス・サーブ、スピンサーブにおけるストリングゲージ(太さ)1.1 ㎜、1.2 ㎜、1.3 mmのトラックマンによる測定例では、「ゲージ太さ」や「張り上げ・テンション」の打球速度やスピン量への影響はありません.(図1~図3 参照)

図ー1

図ー2

図ー3
「打球速度」と「スピン量」に影響するのは、ストリングの「張り上げテンション」ではなく、「インパクトにおけるテンション」であるというのは、理論的にも説明できますが(図4 参照)、別稿で紹介させていただきます.

図ー4
参考記事でも紹介させていただいています.
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(参考記事)
・テニスラケットの科学(746)
:テニスラケットの科学(721)の補足22
:「テニスを科学する:テニスボールとラケットの衝突」
:ストリングのゲージ太さ(直径)は打球速度とスピン量に影響するか?
: フォアハンド、バックハンド、フラットサーブ、スライス・サーブ、スピンサーブにおける1.1 ㎜、1.2 ㎜、1.3 mmの比較 (トラックマンによる測定例)
https://kawazoe-lab.com/tennis_racket/science-of-tennis-racket-707/
・テニスラケットの科学(535)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(45)
:ストリングの太さ(ゲージ)1.1mm、1.2mm、1.3mm の3種類とラケット性能②(ラケットの反発力、打球速度)
:理論的な裏付け
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-535/
・テニスラケットの科学(471)
:ストリングのゲージ太さ(直径)とボールの飛び(打球速度)の関係
:トラックマンによる測定例
:フォアハンド、バックハンド、フラットサーブ、スライス・サーブ、スピンサーブにおける1.1 mm、1.2 mm、1.3 mmの比較
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-471/
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(参考論文)
・川副嘉彦、
ボールとの衝突を想定したテニスラケットの性能予測(衝突諸量におよぼすストリング・ゲージの影響)、
日本機械学会第72期全国大会講演論文集(Vol. IV),No. 940-30 (1994年), pp. 72-74.