テニスラケットの科学(836)
: テニスラケットの科学(831)の補足4
:なぜ、テニス雑誌のラケット性能についての解説記事は、自分勝手な妄想の世界なのか?
:東京大学史料編纂所教授・本郷和人氏のインタビューでの意見*に関連して ⑤
:ラケットのしなりでボールを飛ばすという記事は間違い!
:ボールの飛び(打球速度)に最も影響するのはラケットの重量配分(ストリング面の打点位置に換算した重量)

 
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・ボールの飛び(打球速度)に最も影響するのはラケットの重量配分(ストリング面の打点位置に換算した重量)です。
・ボールの飛び(打球速度)には、ラケットの反発力(係数)とラケット・ヘッド速度の両方で決まりますが、ラケットヘッド速度には、ラケットだけではなく、腕系のスイングウェイト(慣性モーメント)が影響します。

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グリップ位置に換算した腕系の質量:MH 
・腕系の質量をラケット・グリップの握りの位置に換算すると、一般的なプレーヤーの場合、おおよそ 1 kg です。

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(参考文献)
Prediction of the Impact Shock Vibrations of the Player’s Wrist Joint
(Comparison between Two Super Large Sized Rackets with Different Frame Mass Distribution)
Yoshihiko KAWAZOE & Keiko YOSHINARI,
Tennis Science & Technology (International Tennis Federation), Blackwell Science, (2000), pp.91-99.
https://kawazoe-lab.com/…/prediction-of-the-impact…/
https://kawazoe-lab.com/wp…/uploads/2016/08/20000010.pdf

画像3:
反発力(係数)に及ぼす腕系の影響:
プレーヤーの等価質量をグリップ部に付加したラケットの反発力係数と手持ちラケットの反発力係数の測定結果
Rebound power coefficients e of a handled racket and a racket with equivalent mass of an arm.
共同研究者・ミラノ工科大学 F Casolo教授提供。
縦軸:反発力係数=(ボールの跳ね返り速度)/(ボールの入射速度)
横軸:ボールとラケットの衝突速度 km/h
♢ プレーヤ(腕)の重量をラケットのグリップ部分に換算質量として付加したラケット
▲ 手持ちラケット
・ボールをラケット面の中心に衝突させた場合の両者の反発力(係数):実験結果は、良く一致している。
・ラケットの反発力に直接に影響するのは、反発係数ではなく、反発力(係数)です。

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ストリング面の打点位置の換算質量に及ぼす腕系の影響:
プレーヤーの腕系をグリップ部に換算して付加したラケットのストリング面打撃位置に換算した質量および
グリップ自由(拘束のない)ラケットのストリング面打撃位置に換算した質量
縦軸:ストリング面の打撃位置に換算したラケット・腕系の換算質量
横軸:ストリング面の中心から先端側および根元側の打撃位置までの距離
ストリング面の打球位置の違いによって、ラケットの重さの影響は大きく異なります。
ストリング面の中心に換算した重量は、ラケットを手で把持した場合と宙づりのラケットの場合で違いはなく、約200グラムです。
すなわち、
グリップを強く握ってもゆるく握っても、ラケットの重量の影響や反発力には違いがないということを示しています。
・ラケットを手で把持した場合と宙づりのラケットの場合の違いがほとんどないのは、いわゆる打撃の中心がグリップの握りの近くにあるので、インパクトでは、ラケットがグリップの握りの近くを支点にして回転(剛体運動)するので、ほとんど動かない支点近傍に大きな質量が付加されていても影響が少ないからです。
 テニスラケットは神の設計です!

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(参考記事)
・テニスラケットの科学(835)
: テニスラケットの科学(831)の補足3
:なぜ、テニス雑誌のラケット性能についての解説記事は、自分勝手な妄想の世界なのか?
:東京大学史料編纂所教授・本郷和人氏のインタビューでの意見*に関連して ④ 
:ラケットのしなりでボールを飛ばすという記事は間違い!
(実際は)インパクトでラケットは(少し傾くけど)しならない!
ボールの飛び(打球速度)に最も影響するのはラケットの重量配分(ストリング面の打点位置に換算した重量)
:(例)ラケット(110 平方インチ、275 グラム)とラケット(100 平方インチ、300 グラム)のストリング面の中心に換算した重量は 180 グラム(ほぼ同じ)→   両ラケットのボールの飛び(打球速度)がほぼ同じ
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-835/
・テニスラケットの科学(831)
:テニスラケット性能論
:なぜ、テニス雑誌のラケット性能についての解説記事は、自分勝手な妄想の世界なのか?
:東京大学史料編纂所教授・本郷和人氏のインタビューでの意見*に関連して
“ 本郷: 基本的には参考文献が載っていない本はダメです。参考文献や歴史資料がない本は自分勝手な妄想の世界ですから。
“* *BLOGOS 「歴史を語るには大人の分別が必要」日本史学者・本郷和人氏に聞く 歴史の読み解き方 村上隆則 2019年03月05日·
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-831/
・テニスラケットの科学(824)
:プロのストリンガーも誤解の多い「ストリングの基礎知識」
:テニス書・テニス雑誌の解説に「異見あり!」
:(小まとめ9) (川副研究室)
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-824/ 
・テニスラケットの科学(581)
:テニスラケットの科学(460)の補足2
:ラケットの性能とプレーヤのパフォーマンスの関係①:Q&Aより
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-581/