テニスラケットの科学(85) フェース面積100、110、120平方インチの軽量ラケット(290g、フレーム重量275g)の反発係数、反発力係数、ボールの飛び
シミュレーションでは、速度VBOで飛んでくるボールを、肘と手首の関節角度を一定にして、肩関節にトルクNsを与え、90度回転したときのラケット・ヘッド速度VRoで打撃します.
データは,女子プロのラリーにおけるフォアハンド・グランド・ストロークのインパクト速度を想定して、Ns= 56.9 N・m,VBO= 10 m/sを与えています.
図1は反発係数 erのシミュレーション結果です。
グラフの横軸は,ストリング面中心(原点:0)からボールを打つ打撃点までの距離で、ラケットの長手方向の手前側(根元側)を+、先端側を-(マイナス)にとり、単位 mm で表示しています。
フェ-ス面が広いほど、センターを外れたオフセンター打撃で、フレーム振動によるエネルギ損失が大きいために、反発係数 erは低下します。
図2は、反発力係数eで、フェース面が広いほど、特に中心付近から先端側で高くなります。
図3は、ボールの飛びVBで、縦軸の速度(単位 m/s)を3.6倍すると、時速 km/h に換算できます。
フェース面が大きいほど、ストリング面中心での反発力係数は高く、ラケット速度は遅くなりますが、結果としては、フェース面が大きい方が、打球速度(ボールの飛び)は大きくなります。