テニスラケットの科学(174)  テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(31):インパクトにおけるラケット面の角度について(1)

テニス雑誌・最近号(*1)特集『エッグボールをゼロから学ぶ』「①ボールをつぶして勢いよく前方に飛ばす」というタイトルで、 “(要約すると)
速くて軌道が低くトップスピンのかかった「エッグボール」を覚えるためのポイントは
(1) インパクトにおいて地面に対してほぼ垂直のラケット面をボールの真後ろに正確にあてること、
(2) リラックスした状態からインパクトの瞬間だけに力を入れることであり、その見本が添付図(a)(*2)である”と解説されていますが、(異見あり!)です。

インパクト後のボールの速度と方向と回転量(トップスピン、アンダースピン)は、力学的には、飛来するインパクト直前のボールの速度と方向と回転量(回転角速度)に対して、「インパクトにおける ①スイングの速度 ②スイングの方向 ③ ラケット面の傾き」という三つの要素によって決まります。

弾んだボールをライジングで(上がりっぱなを)打つのか、頂上で打つのか、後ろに下がってボールが落ちてくるところを打つのかによっても異なりますね。

図(b)では、ボールが低いので、ラケット面の角度も、図(a)とは多少異なっているように見えます。

ボールとラケット面の斜め衝突(飛んでくるボールの軌道は水平ではないから)において、飛んでくるボールとラケット面の正面衝突方向の速度成分が大きいほど、ボールの打球速度とつぶれの量は大きくなります。

したがって、インパクトにおけるスイング軌道とラケット面の角度の両方、さらにはスピードやスピン量の表示があると大変興味深いですね!

また、インパクトの瞬間(3~4/1000 秒)だけに力を入れることも難しいでしょうね!

*1:「エッグボールをゼロから学ぶ」、テニス雑誌・スマッシュ、2019年6月号、pp.4-20.
*2:「ボールをつぶして勢いよく前方に飛ばす」、テニス雑誌・スマッシュ、2019年6月号、pp.6-7.
(20190623-シュワルツマンforehand-Impact-Smash2019年6月p7-p4-FB-Ss-Kawazoe)