テニスラケットの科学(129)  テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり(23):「理系なテニス」(1) ナダルとジョコビッチのサーブ(理論と体感)

タイトルにひかれてテニス書 『勝てる! 理系なテニス 物理で証明! 9割の人が間違えている“常識”(2018年発行)』 を拝読しました。
まず、冒頭の序文において、“ ナダルがサービス練習に入ったとき、その叔父が耳を疑うような言葉を口にした。「ラファ、ボールを上から叩きつけるようにサービスは打つんだ!」私は狼狽した。このアドバイスが、物理学を覆すものだったからだ。 ——— 「ジョコビッチが、サービスは上から下に打つと言っていましたよ。これって、間違いですよね。 ——– 世界最高峰に位置する選手たちが、理論とは真逆のことを述べることも多いからだ。 ——- テニスのアドバイスは2種類あるからだ。「現象(見た目)アドバイス」と「体感(身体が感じたこと)アドバイス」の二つだ。”と解説されていますが、(異見あり!)です。

テニスラケットの科学(86)、テニスラケットの科学(127)などで、何度か紹介させていただきましたが、
たとえば、添付図(*)をみると、コマ写真1(インパクト前)では、肩を支点として回転する上腕は高く振りあがっていますが、ラケットはまだ下がっており、コマ写真2(インパクト)では、上腕を振り下ろしてラケットが最高位置に振りあがったところでボールをヒットしています。
すなわち、腕を振り上げる力でボールをヒットするのではなく、高い位置まで振り上げた腕を振り下ろしてラケットが高い位置に振りあがる力でインパクトしていることになります。

理論的には、インパクトの直前に遠心力に逆らってグリップが引き付けられることになり(仕事がなされ、エネルギが注入されることになり)、そのエネルギがラケット・ヘッドを一層加速させることになります!
ナダルやジョコビッチほかの習熟したプレイヤーは、理論を知らなくても、体感(身体が感じたこと)により理論的に最も効果のある最先端のサービスを実践していることになるのでしょう!

画像:2019–0511-TC2019年4月号p27-サーブのパラメトリック加速例-t2-cap付-Ss-kawazoe
:サービスにおけるパラメトリック加速の例:テニスクラシック・ブレーク、2019年4月号、p.27の一部を抜粋・編集-kawazoe