テニスラケットの科学(219):スピンとストリング(17) : プロのストリンガーも誤解しているストリング・テンション :各種ストリング素材のテンションと反発係数実測値の例 (52ポンドと62ポンドの比較)

 図は、各種ストリング素材について、(張り上がり)テンションと反発係数の関係を実測したものです。Rod Crossら(2010)の論文にあるデータの平均値を川副がグラフ化したものです。マシンから発射するボールの衝突角度は、ストリング面(正面)に対してスピンが発生しやすい斜め40度です。
 ストリング・テンションは、52ポンドと62ポンドです。
 ストリング素材は、
ナイロン1:Wilson NXT、
ナイロン2:Techfiber NRG2、
ナチュラル(天然)ガット:Babolat Tonic Gut、
ポリエステル1:Polyfiber TCS、
ポリエステル2:Luxilon Alu Power、
ポリエステル3:Luxilon Original、
ポリエステル4:Luxilon ALU Rough
です。
 ナイロン、ナチュラル(天然)ガット、ポリエステルというストリング素材の違いによる反発係数の差は見られません。
 また、52ポンドと62ポンドというストリングの(張り上がり)テンションの違いによる反発係数の差も見られません。
 ポリエステルは反発係数が低い、ポリエステルは飛ばないという専門家による解説が見られますが、先入観(?)による誤解です。