テニスラケットの科学(5)  
ボールとラケットの衝突速度、張った時のテンション、インパクトでのストリング面圧(面バネ剛性)、ストリングのたわみ量の関係

図 は縦軸:ストリング面圧(面バネ剛性)、横軸:ストリングのたわみ量,パラメターとして、VB:ボールとラケットの衝突速度、張った時のテンション:3種類( 45, 55, 65 lb )の関係を示します。(ラケットは Prince SG)。

ストリングの「面圧」(面バネ剛性)は、衝突速度にほぼ比例して高くなり,現実の打撃では、衝突前の10倍近くまで変化します。

張られているテンションに左右されるのは,衝突速度がきわめて小さい場合だけです。

衝突速度が 10 m/s では、初張力65 lb が最大ですが、20 m/s では45 lb, 55 lb, 65 lb ともほぼ同じで、30 m/s では、45 lb が65 lb よりわずかに剛性が高くなっています。

衝突速度あるいは変形が増すほど、ストリング面バネ剛性は高くなり、張られているストリングのテンション(たわみ変形ゼロ)の影響はほとんどありません。
これは、ストリング面が狭いラケットほど顕著です。

1-画像:インパクトでの実際のストリング面剛性(川副研)
:初期面圧(剛性)の10倍までなる。