テニスラケットの科学(600)
(2020年9月29日初投稿)
:ヨネックスのラケット:研究の思い出(5)

● ヨネックスのラケットを含む5機種について,反発係数に影響するインパクトにおけるエネルギ損失成分とフレーム面内振動(フープ振動)の影響を調べました.

(追記)
 論文(参考文献)の結論を要約すると、以下のようになります。
・ ラケット・フレームの面外曲げ振動や捻り振動のほかにフープ振動と呼ばれるフレーム面内振動の存在の可能性が従来から指摘されていたが,実験的な困難さのために測定されなかった.
・ 本論文では,5種類のラケットのフレーム面内フープ振動を測定し,ボールとラケットの反発係数におよぼす影響について考察した.
・ エネルギ損失に対応する反発係数に最も影響するのはボールがつぶれる時の減衰であり,フレーム振動によるエネルギ損失は,ラケット面中心周りのかなり広い範囲で小さく,ラケット面の極端な先端でも全エネルギ損失の25%程度である.
・ また,フレーム振動によるエネルギ損失のほとんどは1次2節曲げ振動成分である.
・ したがって,フレーム面内振動を考慮すると,反発係数は,ラケット面の先端部分では従来より低めに出るが,ラケット面中心周りのかなり広い範囲ではあまり影響しないということになる.
 なお,本研究の一部は平成15年度科学研究費基盤研究(B),平成16年度科学研究費基盤研究(C)および埼玉工業大学ハイテクリサーチセンターの援助によって行われたことを付記する.



(参考文献)
・テニスラケットのエネルギ損失と反発係数におよぼすフレーム面内フープ振動の影響
川副 嘉彦、ジョイント・シンポジウム : スポーツ工学シンポジウム・シンポジウム:ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2006 2006-11-09 p.130~135

テニスラケットのエネルギ損失と反発係数におよぼすフレーム面内フープ振動の影響