テニスラケットの科学(606)
:インパクトにおけるストリング・テンション(張力)の事実
:張り上げテンション(設定・初張力)ではなく、(インパクトでの)リアル・テンション(張力)がボールを弾く

●  雑誌やネットの記事を拝見すると、ストリングのテンションと打球性能の関係については、推測に基づいた2005年以前の古い常識が、まだ、多く見られるようです。
 テンションに関するご質問を多くいただきますので、結論を簡単にまとめてみました。参考になれば嬉しいです!

● 画像1:インパクトにおけるストリング・テンション(張力)の事実
・「インパクトにおけるテンション(張力)」が大きいほど、
 反発力(ボールを弾く力)が大きい。
 (「インパクトにおけるテンション(張力)」がボールを弾く)
・「インパクトにおけるテンション」は、
「張り上げテンション:初期設定」で決まるのではなく、
「ボールとラケットの衝突速度」(衝突力)で決まる。
・ 「張り上げテンション」の違いは、弾き(反発性能)にはほとんど影響しない。
・「張り上げテンション」は、ボールに弾かれた後の打感(振動や音)に影響する。

画像ー1

● 画像2:インパクトにおけるストリング・テンション(張力)がボールを弾く
・ インパクトにおけるテンション(張力)が大きいほど、
  ボールの反発速度(跳ね返り速度)は大きい。
 ・「弓と矢」に例えると(推測ですが)、
 「弓を引くテンション(張力)が大きいほど、
 放たれる矢は速く飛ぶ」
・「弓を引くテンション(張力)は、1
「張り上げテンション:初期設定」で決まるのではなく、
「弓を引く力」で決まる。
・ たわみ量ではなく、テンション:張力!
・「張り上げテンション」(初張力:初期値)の違いは、矢の飛び出し速度にはほとんど影響しない。
・「張り上げテンション」(初張力:初期値)は、矢が飛び出した後の感覚(振動や音)に影響する。

画像―2

● 画像3:張り上げテンションの違いとボールの弾き(ストリングの反発力)
・低い張り上げテンションの場合:
 インパクトでのストリング面のたわむ量は多いが、テンション(張力)、反発力、接触時間はほとんど同じ。
・高い張り上げテンションの場合:
 インパクトでのストリング面のたわむ量は少ないが、テンション(張力)、反発力、接触時間は、ほとんど同じ。
・ボールの変形量は変わらない(ボールとラケットの衝突速度が同じ場合)

画像―3

● 画像4:インパクトにおけるテンションのイメージ
・ ボールとラケット・ストリング面の衝突速度(a) 20m/s(時速 キロ)、 (b) 30m/s(時速 キロ)の場合のストリング・テンションを示しています。
・ ボールとストリング面の接触開始から接触終わり(ボール・リリース)までに、張り上げテンション(初期値)からテンションが増して、元の張り上げテンションに戻るまでの経過を示しています。

画像―4