テニスラケットの科学(661)
:  フェデラー選手の弦楽器としてのテニスラケット
:  横糸ポリエステル上の縦糸ナチュラルを滑らせて弾く
:  スピン量を抑えて音色を楽しむ?

 テニスラケットは構造上、武器(打撃用具)としての性能のほかに、弦楽器(打感)としての性能があります!
 プレーに直接影響を与えるのは、武器(打撃用具)としての性能です。
 しかし、 フェデラー選手のラケットの弦を弾いている写真(図1:広告のようです)がイメージさせるように、 弦楽器としての性能(打感)も重要です!
 しかし、一般的なテニスの書籍や雑誌、インターネット上の記事で解説されているストリングに関する記事は、 ストリング性能と称していながら、ほとんどすべて、 弦楽器としての性能(打感)をストリングの性能として解説されているようです。
 打撃用具としての客観的な性能は、 測定すれば明らかになるのですが、 そのようなデーターは皆無?です。

・ 男子トッププロのポリエステル・ストリング採用率は、 20年前からほぼ100%(縦糸・ポリエステルのハイブリッド含む)*ですが、 フェデラー選手は、珍しいことに、 縦糸にナチュラル、横糸にポリエステルを張っていることで知られています。

図ー1

 図2に、 ポリエステル・ストリングを武器とするナダル選手と、 弦楽器としての音色も楽しむ(想像ですが!)フェデラー選手の試合におけるスピン量の統計的データを示しています。

図ー2

(参考記事)
テニスラケットの科学(483) (備忘録) ラケットの打撃用具(打具)としての性質と弦楽器としての性質
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-483/

テニスラケットの科学(262):スピンとストリング(60) :プロのストリンガーも誤解しているストリング :なぜプロは試合中にラケットを替えるのか - ストリングの武器としての性能と弦楽器としての性能のメカニズム(実験と理論に基づく考察) - (テニス学会2016  横浜2016.12.09 講演PPT抜粋)―06
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-262/

テニスラケットの科学(258):スピンとストリング(56) :プロのストリンガーも誤解しているストリング :なぜプロは試合中にラケットを替えるのか - ストリングの武器としての性能と弦楽器としての性能のメカニズム(実験と理論に基づく考察) - (テニス学会2016  横浜2016.12.09 講演PPT抜粋)―02
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-258/

テニスラケットの科学(630)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり!
:打撃用具としてのストリングの反発性能についての大誤解を解く!
:ストリングの弾性率(ヤング率)も弾力性(伸縮性)もストリングの反発係数には無関係!
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-630/

テニスラケットの科学(629)
:テニス書・テニス雑誌の解説に異見あり!
:科学的な裏付けがあるという『3ヶ月に1回は張り替えましょう』は、非科学的! (ストリング性能の寿命に関する誤解を解く!)①
:弾性率(荷重と変形量の比)の大小と弾力性(元に戻るバネの性質)は無関係!
https://kawazoe-lab.com/ten…/science-of-tennis-racket-629/

(参考文献)

 なぜポリ系ストリングが天然ガットとナイロンを凌駕したのか
 (テニスラケットの新しいストリング性能論とプレースタイル変革の視点から)
 川副嘉彦
 テニスの科学(日本テニス学会機関誌)、第22巻、2014, pp.86-87
https://kawazoe-lab.com/research/porikei-string/

 世界のトッププロはなぜポリエステル・ガットを使うのか
 (ストリング潤滑ラケットとスパゲッティ・ラケットの超高速ビデオ画像解析からの考察)
 川副嘉彦、
 テニスの科学 第14巻(2006年)pp.18-19.
https://kawazoe-lab.com/research/polyestel_gat/

(引用写真)from
・Rocking Roger Federer
 Swiss Tennis Royalty
https://www.facebook.com/photo?fbid=934595318107506&set=a.221539426079769