テニスラケットの科学(889):
(備忘録:解説記事 2003年)
テニスラケットの素材・構造と性能*(その11)
5.ハイテク素材・構造による打球感の改善
*川副嘉彦,テニスラケットの素材・構造と性能,バイオメカニクス研究(日本バイオメカニクス学会誌),(特集:素材とスポーツ)、第7巻2号,(2003), pp. 136-151.
(続き)
5.ハイテク素材・構造による打球感の改善
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図31は,熱可塑性樹脂(サーモプラスティック,ナイロン系)を採用したラケット FX110TP(110 in2)と標準的な複合材を採用したラケット PROTO-EX110 (110 in2)でボールを打撃したときの手首関節衝撃振動の予測波形である.
ラケット面の先端側で打撃したときの例である.

画像ー1
図31 サーモプラスティック(熱可塑性)と従来型複合材の手首関節衝撃振動の予測(ラケット面の先端側で打点)
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図32は,手首関節衝撃振動ピーク値の予測結果の比較であり,横軸はラケット面中心から打点位置までの距離である.
素材によって手に伝わる衝撃振動が低減された例である.
ボールの飛びもほとんど低下しない.

画像ー2
図32 サーモプラスティック(熱可塑性)と従来型複合材の手首関節・衝撃振動ピーク値の予測(横軸はラケット面の打点位置)
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図33は,滑車(ローラー)でストリングスを支える軽量ラケット(ROLLER2.6,図2(g))の制振効果の予測(手首関節の衝撃振動加速度ピーク値)結果である.
最軽量ラケット TSL(図2(f))および標準的軽量型でボールの飛びに優れているラケット 120A(図1(e)))に比べて,ROLLER2.6 はラケット面全体の打撃点で手首関節の衝撃振動がかなり抑制されている.

画像ー3
図33 滑車(ローラー)でストリングスを支えるラケット(ROLLER2.6)の制振効果の予測(手首関節の衝撃振動加速度ピーク値)
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図34は,ラケット(ROLLER2.6)のパワー(打球速度)の比較である.
ラケット面中心から先端側では最軽量ラケットと同程度であり,パワーがやや不足している.

画像ー4
図34 滑車(ローラー)でストリングスを支えるラケット(ROLLER2.6)のパワー(打球速度VB)の予測
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図35は,圧電素子をラケット首部に組み込んだ軽量「インテリ・ファイバー」ラケット IS-10 (図2(h))の制振効果を予測した結果である.
「インテリ・ファイバー」の衝撃振動は,最軽量ラケット TSL (224g)に比べるとラケット面先端でやや低減されているが,全体的には低減されておらず,根元側ではむしろ衝撃振動が大きくなっている.

画像ー5
図35 インテリジェント・ラケット(IS-10)の制振効果の予測 (手首関節の衝撃振動加速度ピーク値)
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図36は, ラケットのパワー(打球速度)の比較である.
「インテリ・ファイバー」ラケットは,衝撃振動の改善はみられないが,パワーに非常に優れている.
サーブでは他のラケットに比べてさらにボールの飛びがよくなる.

画像ー6
図36 インテリジェント・ラケット(IS-10)のパワー(ストロークにおける打球速度VB)の予測
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(引用文献)
・川副嘉彦,テニスラケットの素材・構造と性能,バイオメカニクス研究(日本バイオメカニクス学会誌),(特集:素材とスポーツ)、第7巻2号,(2003), pp.136-151.
https://kawazoe-lab.com/research/tenisutakettonosozai/
(続く)
